昨日貰ってきた判例集には40件ほどの事例が載っているのですが、一応全部読んでみました。ほとんどは管理組合と区分所有者間の訴訟ですが、中には管理会社を訴えたものもあります。地裁と高裁で判断が変わったもの、地裁と高裁で判断は一緒だったのに最高裁でひっくり返ったもの、同じ訴訟を何人かの区分所有者に対して行って、高裁までで判断が分かれたものを最高裁で判断を統一させたもの、などそれはそれはいろんなケースがあります。
確かにこれは判断が分かれるよね、と言う微妙なものもありますが、ほとんどモンスター区分所有者とかモンスター管理組合(モンスター理事長?)とか言いたくなるような無茶苦茶な訴えをしている場合もあります。そういうのは地裁だけで諦めるか、地裁と高裁で同じ判決が出て諦めるかが多いですね。
結構驚いたのが、修繕積立金の返還に関する訴訟です。積立金が足りなくなって困っているマンションは多いのですが、余った積立金を返却しようというマンションが結構あるんですね。でもこれが問題で、修繕積立金は普通は使途を厳密に規定しているので、返却するなんて無効だと管理組合を訴えた区分所有者がいました。管理組合は、もらったものを返すだけだから違う用途に使ったわけではなく、過去の分を値下げしたと考えればよい、と反論した様ですが、それは屁理屈だとなったようです。また、別の訴訟では、返却額を居住年数で決める事にしたのが不公平で公序良俗に違反して無効だとなってます。こういうのが公序良俗に違反すると言われるとは知りませんでした。
また、専有部分の電力供給をマンション全体で高圧一括受電方式に変更することに総会で決めたのに、従来の契約を変更しないと言い張る区分所有者を訴えた裁判では、地裁、高裁ではその区分所有者が負けたのに、最高裁ではひっくり返ってました。高圧一括に変更するにはマンション全ての部屋の契約変更が必要なので、一人でも変更したくない人がいれば変更できません。専有部分の電力契約は確かに各所有者の自由と言えますが、共用部分の設備に絡む話なので微妙な所ではあります。
ほんとにいろいろ勉強になりますね。でも自分はこういう訴訟沙汰はできれば避けたいところです。